精神的影響

●夜尿症の本人は、「恥ずかしい」、「知られたくない」、「内緒にしておきたい」、「親からの叱責」、「兄弟への劣等感」、「宿泊活動への不安」、「大人への不信」、「周囲の目」、「将来への不安」などが心理的負担となり、自己評価の低下をもたらし、物事への積極性をなくしています。

●家族(特に、母親)も「子育てへの自信喪失」、「周囲からの叱責」、「子どもへの間違った評価」、「子どもへのいら立ち」、「後始末へのいら立ち」、「周囲への気兼ね」などの心理的ストレス状態に置かれています。

●以前はこのような夜尿症本人、家族の精神状態が夜尿の自立を遅らせていると考えられていました。

●現在の考え方は夜尿のあること自体が本人、家族の精神的負担をもたらしているのであり、夜尿が解決することにより本人、家族とも健全な精神状態に戻ることが指摘されています。

身体的影響

●夜尿症児の分娩、新生児期、乳幼児の生活環境に特徴的なものはみられません。

●夜尿のある思春期男児ではやや低身長の傾向がみられ、二次性徴出現も遅れる傾向があります。

夜尿症と発達障害との関係

●夜尿、尿失禁の子どもには発達障害(主にADHD)の頻度が高く、治療に時間のかかることが指摘されています。

●発達障害の治療により夜尿、尿失禁が改善することがあります。

夜尿症と排便障害との関係

●便秘は膀胱容量の低下を招き夜尿の自立を遅らせることがあります。

●便秘、遺便のみられる夜尿症では器質的な消化器、脊髄疾患を除外することが第一です。

●軽度な夜尿、尿失禁で便秘の合併がみられる場合は便秘の治療で夜尿、尿失禁の改善のみられる症例があります。

夜尿症と睡眠障害との関係

●睡眠障害のうち睡眠時無呼吸がみられると夜尿の治りが悪いことはよく知られています。

●尿意で覚醒排尿しないことが睡眠障害であるとする考え方には疑問があります。

●深夜の覚醒排尿(自然覚醒、強制覚醒とも)の多い子どもは

  • 睡眠時随伴症(夜驚症、夢遊病、ムズムズ脚など)が多い。
  • 成長に影響する可能性がある。
  • 子どものころから覚醒排尿していると成人期以後の夜間頻尿の頻度を増悪します。
  • 夜間睡眠中に覚醒して排尿すること(トイレおねしょ)は、宿泊などの緊急避難的な場合を除き避けることが必要です。

●大多数の夜尿・中間尿失禁のお子さんでは、睡眠障害、発達障害、便秘、遺便はみられません。

成人期以後の影響

●夜尿、尿失禁にみられるお子さんの親、祖父母には夜間頻尿、昼間の尿意切迫の頻度が高い傾向があります。

●夜尿歴のある子どもが成人になった時には、男性、女性とも加齢、前立腺疾患、糖尿病、高血圧、神経疾患などと同等に夜間頻尿、尿意切迫の危険因子となります。

高齢人口に高頻度にみられる排尿トラブルを減らす方策の一つは子どもの時期の夜尿、尿失禁、覚醒排尿をなるべく早い年齢に解決することが重要であることを強調しておきます。