医療機関で夜尿症の治療を受けると自然経過と比較して2-4倍程度治癒が早くなります。

私の診療所での夜尿症への初期治療および長期経過についての経験を述べます。医療機関受診の参考にしてください。

生活指導

●生活指導のみで治癒した症例は629例/2,394例(26.3%)みられました。

単独治療

●残りの症例には抗利尿ホルモン剤、アラーム療法、抗コリン剤の治療が行われました。各単独治療の効果をみますと、抗利尿ホルモン剤の投与の効果が最も優れており、次いでアラーム療法、抗コリン剤の順番でした。

複数の治療を併用

●これらの単独治療で効果がみられなかった症例についてはいくつかの治療を併用した治療が行われました。

●治療開始から5-10年の経過が確認できた2,766例(治療開始時夜尿日数1-30日/30日昼間尿失禁例も含む)の生活指導、各単独治療、併用療法での治癒率の推移と治癒年数ごとの症例数をに示します。

●治療開始後の6カ月で20%、1年で40%、1.5年で50%、2年で75%、3年で85%の割合で治癒しており、夜尿症の自然消失と比較しても、明らかに夜尿からの自立は早まっています。治癒年数の中央値(対象の50%が治癒する年数)は1.6年でした。一方、残念ながら5-10年間の治療でも2-3人/1,000人のお子さんは治っていませんでした。

治癒に影響する危険因子

●夜尿の治癒率に影響する危険因子をみると、年齢、夜尿日数、昼間尿失禁の有無の影響が強く、それ以外に性別、家族歴、発達障害、便失禁、頻尿、尿意切迫の有無、起床時および昼間排尿量、尿流(尿の勢い)、起床時尿の尿素窒素量(蛋白摂取量を反映)、排尿後の残尿の存在なども影響していました。

まとめると...

夜尿がいつ頃治るかは親子ともども最大の関心事ですが、個々の症例での背景は様々で同じ治療をしても一定ではありません。周りのお子さんの経過と比較して一喜一憂しないようにしましょう。大まかにみますと、

  • 小学校高学年で夜尿日数が月に1/3以下で、昼間尿失禁はなく、夜間尿量のみが多いお子さんの大多数は、生活指導のみあるいは薬剤の治療で約6カ月から1年6カ月程度で治ります。
  • 小学校低学年で夜尿が連日で昼間尿失禁もみられるお子さんでは2-5年程度あるいはそれ以上の治療が必要となることが多いのが現状です。