夜尿症は遺伝性の病気です

夜尿症児の家族歴を確認すると、以下の特徴があります。

●両親に夜尿歴がみられる割合が約50%にみられ、祖父母を含めると約70%で夜尿歴がみられます

●男児に多い傾向があります(男児70%、女児30%、万国共通にみられます)。

●夜尿をしている子どもの祖父母には過活動膀胱、夜間頻尿が多くみられる傾向があります。

●夜尿症児、夜尿症の家族遺伝子解析で共通の異常のある可能性が指摘されています。

夜尿症は膀胱容量と夜間尿量の日内リズムの成熟の遅れが原因です

夜尿の自立には排尿機能の日内リズムの発達、すなわち、膀胱機能の発達に伴う夜間膀胱容量増加(昼間の1-1.5倍)と、夜間抗利尿ホルモン分泌増加に伴う夜間尿量の減少(昼間の2/3-1/2)により、睡眠中の排尿間隔が睡眠時間より延長することが必要です。夜尿症児ではこの排尿機能の日内リズムの発達が遺伝的素因にもとづき遅れているために、就学以後も夜尿が続いていると考えられています

膀胱機能の発達と膀胱容量の日内リズム

●膀胱が尿を蓄尿し排尿するには、膀胱尿道を支配している三つの神経(交感、副交感、体性)の協調が必要です。新生児期はこれらの協調ができず反射的に排尿し2-3歳になると尿意に対する排尿の仕草がみられます。

●5-6歳過ぎてもこれらの発達が不十分の時には昼間の下部尿路症状(尿意切迫、頻尿、昼間尿失禁)がみられることが多く、6歳以後で夜尿がみられる子どもの約1/2には昼間の下部尿路症状がみられます。

●下部尿路症状があると夜間の膀胱容量も不十分で夜尿を伴います

●下部尿路症状が改善しても夜間の膀胱容量の発達が不十分な夜尿症も沢山います。

●下部尿路症状のうち昼間尿失禁は夜尿の改善に強く影響し、また昼間に下着が汚れるため外来で相談される頻度が高く積極的な治療の対象となります。

夜尿が自立した子どもでは夜間膀胱容量は昼間の自然排尿量より多く、昼間最大膀胱容量とほぼ等しくなります。

●夜尿症児での夜間膀胱容量は夜尿がみられない起床時排尿量により把握し、昼間膀胱容量は昼間の目いっぱい我慢した排尿量を求めます。

尿量の調節の発達と尿量の日内リズム

●腎臓での尿量調節は腎臓自体の尿濃縮、希釈機能にホルモン(抗利尿ホルモン、Na利尿ホルモン)、水分摂取量、水分消失量、タンパク質、塩分摂取量などが影響して調節されています。

●尿の成分は主に塩分と尿素で構成されており、夜間尿への塩分の排泄はNa利尿ホルモン分泌の低下により約1/2に減少し、夜間尿量は抗利尿ホルモンの分泌が高まりで減少します。

●夜尿症児の夜間尿量は夜尿量をおむつ重量(g)+起床時尿量の測定で行いますが、必ずしも正確ではありません。

●尿量は尿比重(尿の濃さ)と大まかに相関するため、起床時尿の濃さ(尿比重)は夜間尿量の指標となります。尿の濃さ(色)から体内の水分量、夜間尿量を把握する習慣が大切です。