基本的な考え方を下図に示します。

生活習慣の見直しで改善がみられない場合には、夜尿症の背景である膀胱容量、夜間尿量を見極めて医学的な治療を行います。
個々の治療法の概略をお話しします。
膀胱容量増加に向けて
アラーム療法
●アラーム療法は夜尿があったときの警報により夜間膀胱容量を増やす治療法です。
●アラーム療法はアラームで目覚めさせて覚醒排尿させることが目的ではありません。
●数カ月で夜尿がみられなくなることがあり、再発が少ない特徴があります。
●この治療には親御さんの協力(アラームが鳴った時の処置)が必要で、時にアラームのために他の家族の苦情が問題になることもあります。
●保険適応は認められていません。
副交感神経抑制剤(抗コリン剤)
●膀胱を収縮させている副交感神経の働きを抑制させて、膀胱容量を増加させる薬剤です。成人の排尿障害に用いられており小児への適応はありません。
●昼間尿失禁の改善に有効であるとされ、同時に夜尿も改善することがあります。中止後の再発が一定程度みられます。
●副作用は比較的多くみられます。主な副作用は便秘で、稀にまぶしがる、口渇感が強くなる、不整脈、睡眠障害もみられることがあります。
交感神経刺激剤(β3受容体刺激剤)
●2019年に副作用の少ない新しい薬剤(ベオーバ®)が開発されました。成人の排尿障害に用いられており小児への適応はありません。
●小児への臨床報告では低膀胱容量の改善が顕著で、従来の治療に抵抗する低膀胱容量の夜尿症への有効性が確認され副作用も少なく、今後子どもの夜尿症、尿失禁症への適応が期待されています。
夜間尿量減少に向けて
抗利尿ホルモン剤
●夜間尿量を減少させる薬剤で多尿型、混合型の夜尿症に用います。子どもの夜尿症の治療に認められた薬剤です。
●水中毒を避けるため投与前3-4時間、就寝後に過剰な水分摂取を避ける必要があります。就寝前3-4時間に夕食以外に600-800ml以上の水分を摂取した時には投与を中止します。朝起きた後の昼間の水分摂取量は自由で構いません。
その他の薬剤、治療法
三環系抗うつ剤
●小児の夜尿症への適応が認められている薬剤でその有用性が確認できています。
●副作用として悪心、嘔吐、気分不快、食欲低下、全身倦怠感などの訴えが比較的多くみられます。海外では心停止例の報告があり注意喚起されています
漢方薬
●夜尿症に適応のある漢方薬のうち小建中湯、抑肝散についての臨床報告がみられます。
●睡眠障害のお子さんには抑肝散を併用して夜尿頻度が減少する傾向があります。
干渉低周波療法
●皮膚電極から中周波電流の干渉波が神経を刺激して治療する方法で、成人の尿失禁への有効性がみられています。
●子どもの尿失禁も改善しますが、治療中止による再発が多く治療継続に問題があります。